お茶でも飲みながら

日々の暮らしの出来事や思ったこと感じたことなど思いつくまま綴ってみます。

「すぐ死ぬんだから」読了

びっくり😵するようなタイトルです。

「すぐ死ぬんだから」(内館牧子 著)



主人公の忍(おし)ハナは78歳


若い頃はお金の苦労もあったけど、家業の酒屋を息子に譲り、今は悠々自適で夫と仲良く楽しい二人暮らし


いつもおしゃれと美容に気を配り、颯爽と街を歩く姿は周囲の憧れのまと(ばかりではないこともある?)

ところが夫が急逝した後、実は愛人がいて36歳になる息子までいたことが発覚し・・・


夫が亡くなった直後は早く死にたいなどと気落ちしていたのに、俄然意欲を取り戻し愛人とその息子相手に一発かますことを目標に日々を送り、最後は新たな夢というかやりがいを見つけるそんな話



あとがきによると、そもそもこの小説を書くきっかけは内館さんが八十代中心の集まりに出て、思い知らされたこと・・・


もう年という免罪符のもとで生きる男女と、怠ることなく外見に手をかけている男女にくっきりと二分されている現実があったという


残酷なことに同年代とは思えぬほど、外見の若さ、美しさ、はつらつぶりには差が出ていた。そして外見を意識している男女ほど活発に発言し、笑い、周囲に気を配る傾向があったという。


さらに内館さんは言う

高齢者が「すぐ死ぬんだから」と自分に手をかけず、外見を放りっぱなしという生き方は「セルフネグレクト」なのではないかと。


そしてその対極は「自分が自分に関心を持っている」ということだと。



おしゃれや美容に気を配る、即ち自分に向けられる周囲の視線を意識し、己を奮い立たせるハナだからこそ、いろんなものに立ち向かう勇気や力がわいてきたのかもしれません。


それが「このトシだから外見なんてどうでもいい」「誰も私なんか見てないから」そして「どうせすぐ死ぬんだからさァ」となったらもう坂を転げていくような・・・ああ怖い



想像以上に外見は内面に作用する、中身と連動しているんだなあと痛感


私も気を引き締めて、背筋を伸ばし、トシを重ねても外見への意識を持ち続けたいと思いました。